木曜日, 11月 21, 2024
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職種限定合意と異なる配置転換命令 社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会事件(令和6・4・26最高裁判決)

■権限をそもそも有していない 原審判断に違法、差し戻しへ

職種限定合意がある場合には、個別同意なしに配転命令権を有しないと最高裁が明確にした初めての判決。専門業務が減少した場合に配転を打診することがあり、原審は解雇回避のためいたしかたないと判断しましたが、本判決は個別的同意があれば別だが、そもそも配転を命令する権限が存在しないとして違法と判断しています。

■判決のポイント

福祉用具センターの主任技師として勤務してきた原告は平成21年、製品の安全性をめぐって製作を拒否したことから訓戒処分に。これがきっかけとなり、原告はストレス障害で通院し平成22年から平成25年まで休職しました。

平成27年ごろから福祉用具の改造・製作件数は激減。平成31年、センターは人事異動を発表し、原告は18年間勤務してきた技術職から総務課の施設管理担当に配転されることになります。事前の打診はありませんでした。

原告が所属する組合が配転命令の撤回を求める団体交渉を行いましたがセンターは拒否したため、配転命令は労働契約違反として訴えを提起しました。

原審は職種を技術者に限るとの書面による合意はないものの、18年間技術者として勤務した原告とセンターの間には黙示の職種限定合意があったとしました。その上で、福祉用具のセミオーダー化で需要が減少しているため、解雇を回避するためには、原告を配転することは、業務上の必要性があるとして配転は不当ではないと判断しました。控訴審判決も配転命令を有効としました。

一方、最高裁判決は原審判断は是認することができないとしました。その理由は技術職に限定する合意があるのだから、「その同意を得ることなく総務課施設管理担当への配置転換を命ずる権限をそもそも有していなかった」とし、配転命令をする権限を有していたことを前提とした原審の判断には、法令違反があるとし、原審に差し戻しています。

■判決の要旨 個別的同意なしに配転命令権限有しない

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