金曜日, 11月 22, 2024
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【シリーズ「解析」】2024年公的年金財政検証①

財政検証とは、公的年金の財政の健全性を確認する作業を指す。高齢化と少子化の進展による保険料の高騰に歯止めをかけるための仕組み「マクロ経済スライド」を発動させた上で、給付水準調整終了時の給付水準の見通しをおよそ5年ごとに明らかにしている。

健全性を維持しているか否かの物差しとしているのが、現役男子の手取収入額を夫婦の年金の合計額で除して求める「所得代替率」だ(図1)。平均的な収入を得て厚生年金に40年間加入した夫と、専業主婦のその妻を標準的な「モデル世帯」と位置づけ、所得代替率が50%を維持しているかを確認。仮に50%を下回る場合には、マクロ経済スライドの見直しなどの措置を講じるとともに、給付と負担のあり方を検討して抜本的に制度を改正することが法定されている。


2024年検証では人口や労働力、経済などの状況に異なる前提を置いて4つのシナリオを設定。その上で、足下の24年度に61.2%だった所得代替率が給付水準の調整終了年度にどう変化するかを試算した。

各シナリオの所得代替率を実質経済成長率の推計値を交えて整理すると、プラス1.6%成長を見込む「高成長実現ケース」は15年後の39年度に56.9%、プラス1.1%成長を見込む「成長型経済移行・継続ケース」は13年後の37年度に57.6%、マイナス0.1%成長を見込む「過去30年投影ケース」は33年後の57年度に50.4%となるなど3ケースともに50%を維持。一方、マイナス0.7%成長を見込む「1人当たりゼロ成長ケース」では、35年後の59年度に50.1%となり調整が終わらないまま積立金が枯渇。完全賦課方式で賄える所得代替率は33~37%程度まで落ち込むが、仮にマクロ経済スライドの名目下限措置を撤廃して機械的に給付水準調整を続けると、調整が終了する39年後の63年度の所得代替率は45.3%になるとの見通しを示した(図2)。


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