■業務日報の正確性の審理が必要
技能実習監理団体の指導員に適用されていた事業場外労働みなし制度の適否を問う最高裁判決は、「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとした原審の判断を否定しました。業務の性質から、勤務の状況を具体的に指示しづらいこと、業務日報のみでは業務を正確に把握しきれないことを理由として挙げています。
■判決のポイント
外国人技能実習の監理団体指導員が退職後に、適用されていた労基法38条の2第1項の事業場外みなしは自らの働き方に当てはまらないとして、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する賃金の支払を求めました。
事業場外みなしが適用されるためには使用者が、労働者がどれだけの時間、業務に従事しているかを把握することが困難であることが必要ですが、原審は困難ではなかったと判断しています。
本判決は、労働者の業務が訪問指導のほか、技能実習生の送迎、生活指導や急なトラブルの際の通訳等と多岐にわたっていると指摘。自ら具体的なスケジュールを管理していること、自由に休憩を取っていること、直行直帰が許されていたこと、携帯電話で随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることがなかったことを指摘し、業務の性質上「事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易であったと直ちにはいい難い」としました。
原審は事業場外みなしが該当しないと判断した理由は業務日報にあり、その理由として①実習実施者への確認が可能、②業務日報を前提に残業代を支払ったこと、をあげました。しかし、本判決はその正確性を否定。その理由について①は一般的な指摘であり、実習実施者に確認する可能性が具体的に明らかではないこと、②残業手当を支払った、業務日報の記載のみによらずに残業時間を把握したとの主張があり、この当否を検討しなければ業務日報の正確性を前提としていたともいえない、としています。
■判決の要旨 裁判官の補足意見として 定型的な判断が難しくなった
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