職場のリーダーが謙虚であるほど自由に意見を言える「心理的安全性」が高まり、従業員が本来の力を発揮しやすくなるとの研究調査結果を、東京大学先端科学技術研究センターの松尾朗子特任助教、熊谷晋一郎准教授らの研究グループがこのほど発表した。松尾特任助教は「従業員が最大限の力を発揮できる職場環境を整えるヒントとなる」と述べている。
調査では、職場に出勤しているものの健康上の問題で仕事の能率が落ちる「プレゼンティーズム」に焦点を当て、その低減に職場のリーダーの謙虚さや心理的安全性が関連するかを調べた。
企業に勤める平均年齢約35歳の462人の男女を対象に、「批判的な内容でも積極的に聞く」などリーダーの謙虚さを評価する9項目の質問、「このチームでミスをすると不利に働くことが多い」など心理的安全性を評価する7項目の質問、そして「直近4週間の間に病気や怪我などで仕事のパフォーマンスが落ちた度合い」などプレゼンティーズムを調べる質問項目をそれぞれ尋ねた。
質問への回答を「媒介分析」という手法で解析した結果、リーダーの謙虚さは心理的安全性を高める効果があり、かつ職場の心理的安全性が高まることで、健康上の理由による仕事のパフォーマンスの低下を抑える効果がみてとれた。心理的安全性が「媒介的役割」を果たすことで、リーダーの謙虚さは間接的にプレゼンティーズムの低減と相関関係があると結論付けた。
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