■採用の自由を損なわせると却下 個人情報開示義務の例外にも該当
大学教員の公募に応募した原告は書類選考の段階で不合格に。選考過程の情報開示と説明を求めましたが、判決は民法、職業安定法、個人情報保護法から情報開示請求の必要はないと、請求を斥けています。個人情報に該当するとしても、採用過程を開示することは自由な議論を萎縮させ開示の必要はないと述べています。
■判決のポイント
原告は早稲田大学の専任教員の募集に応募し、書類選考も通らなかった選考過程に疑念を抱き、情報開示を求めました。大学側は情報開示はできない旨回答。団体交渉も拒否しました。
争点は、採用選考過程について開示する義務があるかどうかで、民法の信義則、職業安定法、個人情報保護法から精査しています。
労働契約締結過程における信義則上の義務(民法1条2項)については、契約段階に至っていないので、「信義則が適用される基礎を欠く」として却下。職業安定法は求職者の個人情報の開示の規定を設けていないので、情報開示や説明義務の根拠とはなり得ないと述べています。
個人情報保護法が本人から個人情報を求められたときの個人データの開示を定めていますが、求めた情報に原告への言及がないので個人情報に該当しないとしました。
該当するとしても例外があり、原告のデータ開示請求は、「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当するとしました。 その理由について、被告には、採用の自由があり、「採用選考の審査方法や審査内容を後に開示しなければならないとなると、選考過程における自由な議論を萎縮させ、被告の採用の自由を損ない、被告の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある」と述べています。
データ開示の内容を組合と協議して明確にする、との指針も努力義務であるとも述べています。
総じて開示請求は斥けてられています。
■判決の要旨 職業安定法にも規定はない 契約締結段階に至っていない
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