■雇止めには理由があり適法 能力に重大な問題が生じていた
内部監査業務のために採用され雇止め時に69歳の労働者が不当を訴えた事件。契約更新回数等から労契法19条2号には該当するものの、内部監査を実施する能力を有するものとして採用された経緯、さらには会社に生じた監査延長というトラブルから原告に問題があると認定。雇止めは適法と判断し原告の請求を棄却しました。
■判決のポイント
原告は大手信託銀行で監査業務を担当した後に定年退職。内部監査を実施する監査室長として、平成28年に被告と期間の定めのある労働契約を締結し、採用時は66歳でした。雇止めまで3回契約を更新し、通算契約期間は3年2カ月でした。
原告が監査を実施し始めてから、監査実施中に口論する状況が生じるなどトラブルが続いたことを裁判は認定しました。監査が延期になる部署も出現。原告に対して、コミュニケーションの方法について注意がなされましたが、改善は見られませんでした。
判決は、内部監査は常用性のある業務であること、原告は契約を3回更新し、3年2カ月の間勤務を継続していたことから、契約更新を期待することに合理的な理由がないとはいえないとして、労働契約法19条2号に該当するとしました。
その上で、雇用契約書では更新の基準として勤務成績や態度等で判断するとあり、問題がある場合は更新されないと原告も認識していたこと、70歳を超えてフルタイムで勤務した社員がいないことからしても、契約更新に強度な期待を抱くことについて合理的な理由はないとしました。
判決は、原告に対するクレームから監査が実施できていない状況を重視。契約を更新すれば監査を実施できない可能性が高く、このことだけでも、原告の勤務成績、態度等に重大な問題があるとしました。経験や採用経歴から、内部監査を実施する能力を前提に採用されていることもあり、業務遂行能力の問題を認め、更新拒絶には理由があると判断しました。
■判決の要旨 内部監査を実施する能力を有するものとして採用され
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