■担当業務の困難さを認定 相談しやすい環境整えるべき
新潟市の水道局に勤めていた男性職員が自殺し、遺族が上司からの経験のない業務を命じられたり罵倒されたりしたパワーハラスメントが原因だったとして市に損害賠償を求めていました。判決はいじめ行為は認定せず、相談しやすい環境を整えることを怠ったと安全配慮義務違反を認める一方、職員の過失相殺も行いました。
■判決のポイント
自殺した一郎は平成2年に水道局の技師として新潟市水道局に採用されました。組織改編に伴って平成19年3月頃に初めての業務である「単価表の改訂作業」という業務を命じられました。
水道単価の変更等に伴って改訂するという作業であり、一郎は単価表のExcelの扱いに苦手意識があったほか、作業を行えるだけの現場業務の経験がありませんでした。
一郎は作業の結果を平成19年のゴールデンウイーク明けに提出することになっていましたが、提出期限の直前に自殺しました。なお、本事件では、公務災害として認定されています。市が損害賠償請求に応じられない旨回答したため、遺族は平成27年に提訴しました。遺族は、上司が年休取得に対する叱責や長時間に及ぶ叱責を行ったと主張しましたが、客観的な証拠がないと判断し、いじめ行為を認定しませんでした。
一方、業務そのものの困難性に関しては、初めて従事する職員にとって比較的難しい業務と認定した上で、上司は強い口調で発言する傾向があり、職場の雰囲気も会話は少なく質問をするような雰囲気もなかったと認定しました。
その上で、「上司は、対応を改善して部署内の意思疎通を活性化させ、一郎が相談しやすい環境を整えたり、業務の進み具合を確認しながら必要な指導をしたりする注意義務があった」と判示。安全配慮義務違反を認めました。一郎についても困難な状況を脱するための行動が可能であったとして、5割の過失相殺を行いました。
■判決の要旨 積極的に質問しやすい 環境を構築すべき義務が
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