日曜日, 5月 5, 2024
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外資系高収入労働者と整理解雇 バークレイズ証券事件(令和3・12・13東京地裁判決)

■解雇の諸要素から判断すべき 外資系企業雇用慣行とは矛盾しない

外資系の高収入労働者であっても、整理解雇は労働契約法16条から判断しなければならない、との判断になっています。解雇が無効なら「国際ビジネスから撤退せざるを得ない」との被告の主張に対し、解雇には、それを裏付けるだけの理由が必要、と会社の主張を斥けています。

■判決のポイント

原告は外資系金融機関バークレイズ証券で最上位であるマネージング・ディレクターまで昇りつめ、賃金も高額。基本給1638万円、追加固定給1680万円、住宅手当882万円の合計で4200万円が支払われていましたが、整理解雇され、解雇無効と賃金の支払いを求め訴えを提起したのが本件です。

被告は会社の就業規則には「会社の運営上または天変地異その他これに準ずるやむを得ない事由により、会社の縮小または部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき」の記載があり、本件解雇はこれに該当すると主張。一方、判決は、整理解雇では通常、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の相当性といった諸要素を総合的に考慮するといった労働契約法16条の規定に基づき判断すべきで、「外資系金融機関の雇用慣行に照らせば、そのような諸要素に沿って判断すべきではない」と外資系だからとの会社の主張を斥けています。

人員削減の必要性は認められず、解雇回避努力、人選の合理性についても、原告の配置転換が可能かどうかを検討した証拠がないこと、降格や賃金の減額を検討していないことを指摘。硬直的な整理解雇法理を適用するなら、国際企業が日本におけるビジネスから撤退し、又は、日本において高い職位を設けないという結果を招きかねない、との会社の主張も、「解雇の有効性を基礎づける事実を裏付ける客観的な資料を適切に作成保存したりすることで対処することができる」として斥けています。

■判決の要旨 事実を裏付ける客観的な資料の作成で対処できる

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