客観性とは知覚や感情、または想像に起因する個人的主観からの独立を真とする哲学的概念とされる。
科学の発展により、自然・社会・時間さらに人の心にいたるまで、世界のあらゆる事象が数値化・統計化の対象とされ、客観性が世界の真理を支配するようになって200年弱になるという。現在の医療世界において、エビデンスに基づく医療が絶対的な価値を持ち、有効な診断方法や治療法が整備されてきた。著者もその有効性を認める一方、統計学や平均的数値からの束縛により、他の有効な治療法を捨て去る危うさを指摘する。
個々人の経験に基づく、数字以外の真理の存在を決して忘れてはならない。