
プライム市場に所属する売上1千億円以上の企業の部長クラス以上700人から回答を得たデロイトトーマツグループの調査によると、生成AIの導入率は95.6%に達した。前年比8.0㌽増と上昇し、特に「全社的に導入している」割合が同20.6㌽増の47.0%に急増している。

有益性を認めて、大企業が生成AIの導入を急いでいるが、社内に浸透しているとまでは言い切れないようだ。生成AIの利用度合いを問うと、「ほとんどの社員が利用している」は18.5%にとどまり、「半数以上の社員が利用している」の32.9%と合わせて、5割を超えるというのが実態。生成AI利用の課題としては、「活用不足」「理解不足」「機能の不足」の3つの不足を指摘する声が多かった。


博報堂DYホールディングス(東京都港区)では8月4日から、「AIメンタリング」制度の運用を開始した。エイジダイバーシティ推進とともに、AI活用能力を底上げする狙い。現場だけではなく、経営層自身が活用に向けて先導的な役割を果たすというのが大きなポイントだ。
まずエンジニアに限らず、メディア・営業・マーケターなどの現場で積極的にAIを活用している若手社員からAIメンターを選出し、グループの経営層とペアリングを行う。AIメンターが、定期的にAIツールの効果的な使い方をトレーニング・サポートする一方で、経営層は自身の経験知や知見を若手社員に提供。テスト段階では、参加した経営層の月間AI利用回数が約3倍になる効果が確認され、今後は業務時間の削減はもちろん、若手社員によるAIを駆使した得意先のマーケティング支援の強化、全社的なAIに対する意識変革に繋げる考えだ。
■活用スキルを評価する新指標作成
ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区)は8月末から、全社のAI活用スキルを評価するための新指標「DeNA AI Readiness Score(DARS)」を導入。全社を挙げてAI活用を推進する「AIオールイン」宣言に沿い、従業員や組織のAI活用レベルを客観的に評価・可視化することで、より強固なAIネイティブな組織の構築を目指す。
DARSは個人レベルと、部署・チーム単位の組織レベルの二つの側面で、AI活用のレベルを半期の評価サイクルごとに可視化する。例えば個人レベルでは開発者と非開発者に区分し、AI活用の習熟度に応じてレベル1~5までの段階を設定。なお可視化した指標は個人の人事評価には直結させず、期待される役割・成果を明確化するための等級の推奨要素として用い、半期ごとの目標設定に反映させる。他方で、組織レベルも5段階の指標を設定しており、今年度末までに全組織でレベル2に到達することを目標に掲げている。


このほかZOZO(千葉県千葉市)は、グループの全エンジニアを対象に、一人当たり月額200米ドルの基準で開発AIエージェントを導入。導入前の調査・検証と利用ガイドラインの作成で円滑・安全に活用できる体制を構築し、開発業務の自動化を加速させる。


