金曜日, 12月 5, 2025

システムが光る場所と残る宿題 給与計算の「加工」工程(杉野 愼)

■給与計算DXの先に何を見るか④

杉野 愼(すぎの・しん)㈱TECO Design代表取締役
▶1982年生まれ、広島大学大学院修了。医療系ITベンチャーでの営業を経て大手社会保険労務士事務所で給与計算やM&A、IT推進事業などに従事。2019年にTECO Designを設立し、1000社超の中小企業でのHRテック導入・運用実績を持つ。

給与計算フローで「加工」と呼ぶ工程は、集めた素材を規程どおりに数値へ変換し、給与システムで取り扱えるデータへ落とし込む段階だ。例えば勤怠管理データのインポート用の加工業務などがあるだろう。

このフェーズの主役は、既存パッケージの給与ソフトに搭載された計算エンジンであり、とりわけ割増賃金の計算(深夜・休日・時間外の各率の適用)や労働時間不足による欠勤控除などは、テクノロジーが最も得意とする領域である。

複雑な就業ルールや法定割増率、端数処理方法を一度設定すれば、固定残業の超過計算や途中入社社員の日割り計算まですぐに完了し、担当者が表計算ソフトで関数を組むより、桁違いに速く正確な結果を返す。

仮に法改正で割増率や保険料率が変わってもマスターを書き換えるだけで即時反映されるため、期限の迫った月次でも慌てることはない。ここは文字どおり、テクノロジーの独壇場と言える。

■1DBプロダクトとは

では「課題はもう残っていないのか」と問われれば、答えはノーだ。

計算エンジンはあくまで投入された素材が正しいことを前提に動く道具である。勤怠・身上・変動の各データが誤っていれば、いかに高性能でも誤った結果を高速で拡散するだけに終わる。前段の素材集めで遅延や漏れがあれば、加工フェーズが生むのは“最速のミス”だということになる。

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