金曜日, 12月 5, 2025
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待ったなし!職場の熱中症対策 デバイスで見守り、かき氷で「体内から冷やす」

西日本で梅雨が異様に短期間となるなど、今年の夏も猛暑が約束されている。熱中症対策を義務づける改正労働安全衛生規則も6月から施行されているが、従業員の健康や命を守るためにも、企業の対応は待ったなしの喫緊の課題だ。

5月初旬といち早く対応に動いたのは、コープデリ連合会(埼玉県さいたま市)で、お盆期間に当たる8月11日から8月15日の間の宅配を休みとした。店舗ステーションや保育園・学童などの法人利用も一斉に休みとすることで、働きやすい職場環境を整備するとともに、猛暑による疲労と熱中症から職員を守る。


ダスキン(大阪府吹田市)は6月からの義務化に合わせて、熱中症対策を強化する。報告体制の整備や実施手順の作成、関係者への周知に加え、従前から取り組む「こまめな休憩・水分補給」を徹底。さらに大阪・関西万博の会場で清掃作業を担当する従業員に、暑熱リスクを色で可視化する「スマートウォッチ型デバイス」を初導入し、深部体温の変化のモニタリングをリスク判定・早期対応に繋げる。



建設業の荒木組(岡山県岡山市)は、従前から熱中症対策11箇条を制定し、屋外作業場近くにテントやミストファンの設置、経口補水液・塩タブレットの常備などを進めているが、6月から義務化された措置に加えてウェアラブルデバイス「Smartfit」を新たに導入。現場作業員の心拍数や熱ストレスといった体調変化を遠隔からも確認でき、早期の異常検知や自己判断の補助に役立ててもらう。


ノジマ(神奈川県横浜市)は6月から、物流センターの従業員約200人を対象に、「ウェアラブルエアコン」を配布・着用を開始した。ウェアコンは首に装着することで冷気を出し、体を冷やすもので、WINヒューマン・レコーダーの技術を活用して富士通ゼネラルが製品化。


倉庫内にはすでに大型シーリングファンを設置しており、ミネラルウォーターと塩飴を各所に配備している。


スマートウォッチ型デバイスやウェアラブルデバイスなど最新の技術を活用する事例も目立つ一方で、「かき氷」で体の中から冷やすというシンプルかつユニークな方法を採用する企業も多い。

三和建設(大阪府大阪市)は、炎天下で働く作業員の熱中症対策として約10年前から始めているという「かき氷ステーション」を、今年も5月中旬から稼働させている。かき氷機とともに、100リットル製氷機を設置可能な建設現場に限定して導入し、初日に練乳が1日でなくなるほどフル稼働。このほかにも自社開発した熱中症予防ゼリーを完備、深部体温を測るウェアラブルデバイスも全従業員に配布するなど対策に抜かりはない。


運送サポートサービスのドラEVER(東京都港区)も6月4日、熱中症対策としてオフィスでのかき氷機の設置を決めた。記録的猛暑のなか、エアコンだけではオフィスで快適に過ごせないと判断。従業員の福利厚生の一環で、いつでも手軽に利用できる場所に設置し、定番のシロップを複数用意して飽きのこない工夫も凝らしている。


不動産業のマーキュリー(東京都港区)は6月からオフィスの熱中症対策として、ポロシャツやTシャツ、ノージャケット、ノーネクタイを推奨するスーパークールビズを導入。同時に外気温、建物環境、業務内容に応じて空調を柔軟に調整して、電力使用量を抑制。快適性と省エネの両立を追求することで、オフィス全体の二酸化炭素排出量の削減を目指す。

サンシャインシティ(東京都豊島区)は、運営する水族館での熱中症対策の徹底を図る。屋外で作業する飼育スタッフには30分ごとにタイマーを鳴らして5分間の休憩をとり、長靴を脱いで定期的な放熱をするほか、設置した保冷庫から水分を補給。また生き物たちに対しても日陰の確保、扇風機・ミストの使用、水分・塩分補給などで健康管理に万全を期す。

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