金曜日, 12月 5, 2025
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懲戒免職と退職手当不支給 懲戒免職処分取消等請求事件(令和7・4・17最高裁判決)

■全額不支給も妥当と判断 事業に対する信頼を大きく損ねた

京都市営バスの運転手が千円を着服し懲戒免職となり、29年間分の約1200万円の退職手当が全額不支給に。最高裁は原審の判断をくつがえし妥当と確定。公金の着服自体重大な非違行為で事業の信頼を大きく損なったとして、原審のいう裁量権の範囲の逸脱も濫用もなかったと判断しました。(判決全文

■事件の概要

原告は平成5年3月頃、京都市交通局の職員として採用され4月からバスの運転手として勤務。各種表彰歴を有する一方で、乗務中の事故を理由として4件の戒告処分と2件の注意を受けたことがありました。

令和4年2月11日、乗客から5人分の運賃1150円の支払いを受け、硬貨を運賃箱に入れた上で千円札を着服しました。また、令和4年2月には乗客のいない停車中のバスの運転席で、合計5回、電子たばこを使用しました。

管理者である京都市が令和4年2月18日、バスのドライブレコーダーで業務を点検した際に本件行為が発覚。運転手は喫煙類似行為は認めたものの、着服行為については否定。上司からの指摘で認めるに至り、市は平成4年3月2日、懲戒免職処分とした上で、退職手当1211万4214円の全部を支給しない処分を行いました。

運転手が全額不支給とした市の処分が重すぎるとして取消しを求め、二審は懲戒免職処分は適法としたものの「全部支給制限処分は、非違行為の程度及び内容に比して酷に過ぎるものといわざるを得ず、社会観念上著しく妥当性を欠いて裁量権の範囲を逸脱したものとして違法」として、全部支給制限処分の取消し請求を認めました。

職務内容は民間の同種の事業におけるものと異ならないこと、実際にバスの運行等に支障が生じ、又は公務に対する信頼が害されたとは認められないこと、本件着服行為による被害金額は1000円にとどまり、被害弁償もされていること、在職期間は29年に及び、一般の退職手当等の額は1211万円余りであったことが理由です。


■判決の要旨

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