■連載:人事考現学(著者:山本圭子 法政大学法学部講師)
放映中の『不適切にもほどがある!』は1986(昭和63)年から2024(令和6)年にタイムスリップする、高校生の娘を持つシングルファーザーである熱血教諭が主人公のドラマだ。彼は1935(昭和10)年生まれの設定だ。劇中に「この作品には不適切な表現および喫煙シーンが含まれていますが、時代による文化・風俗の変遷と、その是非を問うことを主題としているため、あえて1986年当時のまま放送します。」との表示が流れる。昭和のシーンでは、職員室や学校グラウンドでの教員の喫煙、野球部の練習で飲水禁止や連帯責任でのケツバットにウサギ跳びと、今では考えられない昭和感が満載だ。かつて23時台に放映されていたお色気番組(この表現も昭和!)を彷彿させる場面も出てくる。
タイムスリップ先の令和で、主人公はテレビ局勤務の産休明けの女性と知り合う。彼女は、職場や世間の子供を持つ女性への偏見を愚痴る。他方、後輩スタッフが、働き方改革で、仕事が残っていても先輩が後片付けをしていても「シフトなので」といって定時で帰ることや、急速なペーパーレスの進行を嘆く。Z世代の新人が雑用を嫌うのを怒ると、男性上司にエイジハラスメントになる、多様性を尊重しろとたしなめられる。
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