日本貿易振興機構(ジェトロ)が26日に発表した調査結果によれば、欧州に進出する日系企業の約9割が、取引先などサプライチェーン(供給網)における人権問題を「重要な経営課題として認識している」と回答したことがわかった。前年調査の約7割から上昇した。調査は9月に行われ、西欧14カ国、中・東欧9カ国の日系企業830社の回答を集計した。
自社や取引先、販売先などサプライチェーンでの人権問題について、89.4%が「重要な経営課題として認識」。割合は前年から21.6ポイント上昇した。欧州では関連法令の施行や整備が進むなか、業種を問わず認識の高まりが回答に表れている。
人権への影響やリスクを特定し、評価した上で適切な対策を実行する人権デューデリジェンス(人権DD)を「実施している」割合は38.0%と、前年(35.4%)から微増した。
人権DDの実施範囲については「自社・グループ会社」が89.1%と最多。次いで「直接的な取引先」が52.9%、「間接的な取引先」が20.7%などとなった。
具体的な取り組み内容は、「人権方針の策定・公表」が80.3%で首位。次いで「人権侵害の防止・解消を実施」が42.9%、「自社の取り組みを公表」が36.2%と続いた。