金曜日, 12月 5, 2025
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募集条件と異なる契約書の内容 マンダイディライト事件(令和6・12・22大津地裁判決)

■労働条件変更も同意なく 労働契約は存続している

 
募集、採用時の雇用期間の定めがないとの労働条件が、契約書で雇用期間の定めがありと変更になった結果、雇止めになった原告が労働契約上の地位にあることを求めて訴訟を提起しました。判決は、労働条件の変更同意を否定。労働契約は存続していると判断しました。

■事件の概要

原告は令和5年6月19日、ハローワークの被告の求人票を見て20日にウェブ採用面接を受け、その日の午後には、7月1日を始期とする内定を通知されました。

内定通知を出した翌日の21日に会社が契約書を作成し、7月3日から勤務を開始しましたが、9月1日以降、労働契約がないとして労務の提供を拒否しました。

裁判で会社は2カ月間を雇用期間とするとの契約書の記載どおり、原告には期間満了により労働契約が終了することがある旨説明したと主張。

一方の原告は「雇用期間の定めなし」「試用期間あり期間2カ月間」との求人票の記載のほか、面接や内定通知書、契約書作成の際も雇用期間の定めがある旨の説明を受けておらず、契約書に雇用期間の定めの記載があることを認識していなかったので、両者の間には期間の定めのない労働契約が締結されていると主張しました。


■判決の要旨

判決はハローワークの求人票には労働契約の要素がおおむね具体的に特定されており、内定通知時点では原告と会社との労働契約の内容が具体的に定まっていたとしました。

そして、「労働契約締結に何らかの留保が付されたことはうかがわれない」ことから、内定通知(6月20日)により始期付き労働契約が成立したとしました。契約書を作成した翌日の6月21日に労働契約が締結されているとの会社の供述に対しては、契約書作成は労働契約の確認の行為と判断しました。

そして、会社が契約書作成時まで雇用期間について説明しなかったことから、始期付契約では「求人票のとおり試用期間を2カ月として雇用期間は定めがないものとして成立したものといえる」としました。

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