■連載:人事考現学(著者:山本圭子 法政大学法学部講師)
父方の祖父が瀬戸内のみかん農家だったことから、昔は季節の柑橘がよく届いていた。母は「お返しが大変」とこぼしていたが、父は仏壇にうやうやしく柑橘を供えていた。いまや田舎に縁者が残っていないので、自腹で柑橘を取り寄せている。
先日、通販サイトのセール品「訳あり」「家庭用」の大箱が立て続けに届いてしまった。あるサイトの訳ありデコポンは、無選別で、箱の底の実は傷んでいるかも知れないから重量にして1割余計に入れます、という触れ込みだ。大きすぎる、小さすぎる、表面の傷、デコがない、ヘタ外れ等で規格外品だという。痛み易いので、冷蔵庫には大きな柑橘が50個も詰まっている。きれいなものはお裾分けに回す。
夏みかん、ハッサク、文旦など大きな柑橘は、手でむける温州みかんとは異なり、包丁でカットして中袋と種をとらなければならず、消費者に敬遠されがちらしい。ある漫画家が「将来の自分へのご褒美」と題し、剥いた文旦をタッパーいっぱいに詰めた写真をSNSにアップしていた。その真似をしてスポーツ中継を観ながら、せっせと文旦を剥いた。ソフトボールほどの文旦2つをタッパーに収め、冷蔵庫に。剥いておくと、つまみ食いされ易いが。
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