厚生労働省はこのほど、年金制度改革法案の今通常国会提出に向けて自民党に修正方針を示した。マクロ経済スライドの早期終了による基礎年金底上げ措置を削除するほか、被用者保険の適用拡大に関して企業規模要件の段階的な撤廃、保険料割合の調整を可能にする特例の活用を限定するなど大幅な修正を余儀なくされた形。また第3号被保険者制度の見直しと基礎年金拠出期間延長の検討規定を盛り込んだが、参院選を控えて改正の行方は見通せていない。
■第3号被保険者制度と基礎年金拠出期間延長の検討を明記
厚労省が自民党厚労部会に、年金部会の議論の整理に沿って作成した2025年度年金改革法案の修正方針を伝達。法案審査の手続を進めるが、参院選が迫るなか反対意見も多く、法案を提出したとしても今国会で成立できるか未知数だ。
被用者保険の適用拡大では、月額8.8万円の賃金要件廃止を公布3年以内施行と定め、企業規模要件撤廃を段階的な実施に変更。また保険料調整制度を適用拡大の支援措置に位置づけた上で、対象を50人以下規模企業に限定して拡充するなど当初案を改めた(記事下部に別掲)。

5人以上規模の個人事業所の非適用業種の解消については、既存事業所に対する配慮を充実。29年10月施行以降の新規事業所に適用する一方、施行時に存在する事業所に関しては当面、期限を定めず適用除外とする。

年金改革法案の目玉施策として注目されたマクロ経済スライドの早期終了による基礎年金の底上げは、必要性についておおむね合意形成ができたとしつつも、財源に厚生年金の積立金を活用することや、これに伴う一時的な厚年受給額の減額、追加的に必要となる国庫負担の捻出などに批判が集まり、法案から削除する。

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