■連載:人事考現学(著者:山本圭子 法政大学法学部講師)
昨秋から始まったマンションの大規模改修がいよいよ大詰めだ。建物全体を足場で囲い、作業員が行き来するので、日中カーテンも開けられない、洗濯物を干せない日々はもうすぐ終わる。仕上げは、各部屋のドアの塗装で、乾くまで一日中ドアを開けっぱなしにするので、塗料の匂いが部屋に充満するなかで、在宅しなければならない。
大規模改修のために管理費から積立てをしているらしいが、材料費や人件費高騰の余波で予算がギリギリとなり、見積もりを依頼した業者が次々と降りたらしい(一部の改修項目は次回送りになった)。円安やら、原油を材料とする資材の高騰やら、職人不足といった建設業を取り巻く状況が、この小さなマンションをも直撃した。次の改修に備え管理費も大幅値上げだ。
結局、前回も担当した中堅業者が改修に当たっている。驚いたのは、土日祝日の作業がほとんど行われないことだ(玄関ドアの塗装だけは土日も作業してくれるという)。建設現場はかつては週休1日が一般的だったが、いよいよ週休2日制としなければ、人手を確保できないし、働き方改革による時間外労働の上限規制を守れないのだろう。前回の改修では2月の厳寒期にドアの塗装をしたが、今回は4月だというから、工期が2カ月弱長くなっている。
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