就活ハラスメント防止に苦慮 リクルーター対策重点化で効果

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インターンシップも含め、就職活動中の学生などに対するハラスメント全般を、「就活ハラスメント」と呼ぶ。

就活ハラスメントと一口に言っても、報告例の多いセクハラに、パワハラ、他社の選考辞退を強要するオワハラと態様は様々。しかも「OB訪問を悪用したわいせつ行為」「内定者への指導という名の執拗な叱責」から、「面接での性的な冗談」「食事の誘い」までと程度も千差万別で、企業からは対策の焦点が絞りづらいのが実態だ。

厚生労働省が2021年3月に発表した調査では、就活セクハラを経験した学生が25.5%を数え、行為の内容は確かに多岐に渡っている。他方で、行為を受けた場面を問うと、34.1%の「インターンシップ参加時」、27.8%の「企業説明会・セミナー参加時」、18.2%の「就職採用面接時」、13.7%の「内定取得時」の順で多くなり、面接などを行う採用選考活動より前段階での対策が求められていることを示唆した。


就活ハラスメント防止対策の先進事例をみても、長期間に及び就活期間中の学生をサポートする「リクルーター」への対策を強化する共通点がみられた。具体的には、自社のリクルーター向けに、独自の行動指針やマニュアルなどを策定する動きが目立つ。

例えば、大林組はOB・OG訪問・面談時の留意点として、「訪問を受ける際に会社に事前に届け出る」ことのほか、「個室」「LINEなどのSNS」の利用を禁止。また住友生命保険は、「OB・OG訪問用マッチングアプリへの登録禁止」をはじめ、内定者との懇親会など酒席を共にする場合の留意点として、「質問すべきでない事項」や「配慮すべき事項」を明記しており、ともに若手社員がリクルーターとして活躍する場面を想定したセクハラ防止に対策の主眼を置く。



このほか、採用選考の公正担保や個人情報の利用制限も効果的なようだ。出生地や家族構成、思想・信条などを把握しないこと、エントリーシートに記載された学生の個人情報の一部を非公開とする取扱いなどは参考にしたい。

採用する側に優越性がある以上、企業は対策を講じる社会的責任を負っている。