カスハラ対面業務で深刻化 撮影罪新設で盗撮防止対策は前進 

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社会問題化して久しいカスタマーハラスメントだが、先進的な対策がみられる一方、対面で顧客対応を行う業務では著しい迷惑行為に悩まされている労働者も少なくない。

航空連合はこのほど、カスハラに関する二つの調査結果を発表。空港旅客サービスなど地上職652人から回答を得た初調査では、37%が「直近1年以内に利用者や取引先から著しい迷惑行為を受けた」と回答し、行為の形態としては「暴言・威嚇・脅迫」が76%、「執拗なクレームや説教による長時間の拘束」が75%で圧倒的に多かった。


行為の対応は「毅然と対応した」が49%、「上司に引き継いだ」が41%で多いが、対策の不備が疑われる「謝り続けた」も39%で僅差で続く。実際に、職場の対策について54%が「特にされていない、わからない」と回答。事案後の心身の状態を問うと、「不快感が続いた」が79%、「仕事への意欲が低下」が56%、「恐怖感が続いた」が40%に達し、カスハラが特に労働者の「心」に悪影響を与えていることを浮き彫りにした。


先進的なカスハラ対策といえば、昨年10月に修理サービス規程を拡充した任天堂。脅迫や人格否定、プライバシー侵害はもとより、「クレームの過剰な繰り返し」「ネット上での誹謗中傷」などがあれば対応を断る可能性のほか、悪質なケースは警察や弁護士に連絡するなど厳正に対処することも示唆している。

任天堂「修理サービス規程」から

他方で、客室乗務員1573人が回答した調査では、71%が「盗撮・無断撮影の経験がある」と回答し、3年前の前回調査から約10㌽上昇。うち11%は「性的姿態」に該当し得る盗撮だったが、対処法を尋ねると57%と半数以上が「特にできなかった」と泣き寝入りしていた。


盗撮は現時点で迷惑防止条例で規制されており、飛行中の客室乗務員に対する盗撮が摘発されたものの、都道府県が特定できずに処分保留となった事案も発生。ただ性犯罪への国民的な関心の高まりも手伝い、法務省は3月14日に性的姿態の撮影行為を「撮影罪」として罰する法律を今国会に提出した。無断撮影が撮影罪の対象外となるなどグレーゾーンもあるが、対策が一歩前進したと評価できる。