高年齢社員を本格活用 現役並みに年2回昇給で戦力化

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労働人口の減少で、働き手として重要性を増すのが高年齢者。定年後の再雇用や定年年齢の引上げにより、現役世代と遜色のない活躍の場を提供する企業が増えている。

2022年度高年齢者活躍企業コンテストで、厚労大臣表彰の最優秀賞に選出されたのは、菓子などの食料品を製造・販売する恵那川上屋(岐阜県恵那市)。65歳の定年後の再雇用では、本人の希望に応じて所定労働日数・時間を少なくして働ける制度を整備しており、最高齢の79歳を筆頭に全従業員の14.7%に当たる47人の60歳以上の高年齢社員が活躍している。

高年齢者が多いパート社員に対して、恵那川上屋は役務遂行レベルを定義したクラス制度、人事評価制度、時給制度を適用し、年2回の昇給を設けることで戦力化と定着を実現。高年齢社員は商品知識や慶弔に詳しいことから、特に街中の店舗に多く配置しており、若手社員のロールモデルとして接客などの技能伝承の役割を担う。作業面への配慮では、栗の識別や菓子の包装を機械化したほか、腰痛予防の観点からトマトの収穫のための作業車を導入するなど、高年齢社員が容易に作業できる環境を整備している。

厚労大臣表彰の優秀賞は、トーケン(石川県金沢市)、モルツウェル(島根県松江市)の2社が受賞した。

総合工事業のトーケンは、他社を退職した即戦力を雇用し、高年齢社員は13人と全従業員の15.5%を占める。豊富な技術力や経験、ノウハウなどを若手社員に指導・教育する場を設けるとともに、新規事業にも適性に合わせて積極的に配置。健康面の配慮として、人間ドックの費用を会社が全額負担するほか、提携する運動施設を無料で使用できるようにするなど体力づくりも奨励している。

食料品製造業のモルツウェルは、全体の30.5%に達する45人の高年齢社員が勤めており、評価を賞与に連動する人事評価制度や改善提案に報奨金を支払う改善報告制度を適用することでモチベーションを維持。技能実習生などとペアで就労するのが特徴で、高年齢社員が技術支援や技能伝承を行う一方、実習生が力仕事を担うなど互いをフォローする体制を確立している。