障害者総合支援法の次回改正では、障害者の就労支援の具体策として新たなサービス「就労選択支援(仮称)」の創設が視野に入っている。
就労アセスメントの手法を活用して整理した就労能力や適性、配慮事項などに応じて障害者本人が雇用や福祉、医療などの関係機関と連携しつつ、一般就労や就労継続支援A型、B型などの就労系障害福祉サービスの事業所の利用の選択を支援する制度。就労アセスメントで得た情報は、市町村が就労系障害福祉サービスの支給要否決定を行う際に勘案するとともに、ハローワークが参考にして適性検査や職業指導を行う。
就労選択支援の対象は、年齢や障害種別などに関係なく就労アセスメントによる支援を希望し、新サービスの利用を申請した障害者。就労系障害福祉サービスを現に利用する者も、対象に含める。
具体的な就労選択支援の中身としては、障害者本人の就労ニーズを相談により把握するとともに、実際の作業場面などを活用して就労に必要な能力や課題などを整理。また支援の質と中立性を確保するため、地域の関係機関とケース会議を通じて就労面以外の情報も含めて相互共有しながら就労アセスメント結果を作成し、一般就労や就労系障害福祉サービスに確実かつ速やかに橋渡しする役割を担う。
実施主体には、就労支援の経験・実績を有していることや、地域の就労支援や障害者雇用の状況を適切に情報提供できることを要件として課す考え。加えて就労支援の経験を有する人材の配置のほか、相談・作業場面などを活用したアセスメントを行う設備、障害福祉サービス事業所などからの利益収受の禁止といった中立性の確保についても幅広く求める方向で調整する。
一方で、障害者本人に過度な負担とならないよう配慮にも万全を期す。就労選択支援全体の実施期間については2週間程度、最大でも2カ月で就労に繋げることを目指す。また一般就労を行う企業においても、環境の整備や合理的配慮の提供を検討する際に、就労選択支援を通じて得た情報を活用するよう促す。
就労選択支援は、法改正後も十分な準備期間を確保して実施に移される見通しだ。