働き方を変えて組織の生産性向上を実現するために、組織成立の3要素が必要です。この3要素とは、そもそもの組織の目的、その共通目的を実現する構成員の貢献意欲、そして組織内のコミュニケーションです。
日本の経営は、かつて「あうんの呼吸」経営ともいわれました。この経営は、「いわなくてもわかる」といった特殊な条件下で機能します。言葉にしなくても意思が伝わるのでしたら、確かに理想的なコミュニケーションかもしれません。
特殊な条件とは、お互いが類似した環境下で生きたようなことを指します。ところが、時代は刻々と変化し、新しい世代の社員が組織に参加してきています。つまり、否が応でも社員意識の多様化は進みます。経営者が「団塊世代ジュニア」や「バブル世代」で、一方、新入社員が「さとり世代」やネットリテラシーの高い「Z世代」かもしれません。それぞれに価値観が異なることもあるでしょう。
こうした中、組織構成員の意欲や行動のベクトルを合わせる機会が生まれかどうかは、社員のモチベーション向上につながる人事評価制度の運用にかかっています。意思疎通不足の働き方改革は必ず失敗します。
評価期間の期首には、個々人の組織内での役割や実施すべき行動等を、「期首面談」で上司と部下が顔をつき合わせて言葉を交わし、確認し合う機会をもつことを、ぜひとも習慣化したいものです。