【働き方改革キーワード】無形財産の開示

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無形財産とは、財務諸表上に記載される土地、建物、機械設備などの有形資産に対して、特許、商標、ノウハウなど、物理的な形状を持たない資産のことを指します。

日本では、企業買収等で「のれん代」などが話題にあがりますが、こうした無形財産は、買収価格と時価評価純資産の差額として、はじめておもてに出ます。

ノウハウのみならず企業がもつ特許や商標も、企業の付加価値生産性や価値を上げるもとになりますが、その獲得過程にかかわった社員、つまり人材(人財)なしにはあり得ません。

にもかかわらず、「ノウハウは盗むもの」等、苦労して得た無形財産を軽んじる悪しき習慣が、日本の国力をも脅かす状況となっています。財産を大事にしないことで、容易に海外の企業に財産が移転するようなことが起こったり、有能な技術者や高度専門職社員が、日本で得ていた賃金を遙かにしのぐ金額で、外資系企業に転職したりするケースが増えています。

最近になって、日本政府は、高度成長期の製造業等で人財を「コスト」と捉えた考えから、新しい時代の産業に向けた「投資」と捉える方向へ、やっと腰をあげました。例えば、「人材育成」、「多様性」、「安全・健康」、「労働慣行」に関する19の項目を「人的資本」として、企業に開示するように促し始めています。

自社のホームページで、こうした状況を積極的に開示することは、社員の貢献を尊重することにもつながります。身近な例では、企業の財産となりえる公的資格保持者の社員数を公表することで、その企業への投資が増え、企業が発展するだけでなく、社員の働きがいが増えるという好循環を作りたいものです。


赤津雅彦(あかつ まさひこ)
賃金システム研究所🄬所長 賃金改革のプロ・プラチナ企業育成のマイスター🄬

主な著書:「新訂2版 賃金システム再構築マニュアル」、
「赤津雅彦の賃金改革キーワード」、
「伸びる組織のための人事・賃金基礎講座」等

(注)「プラチナ企業育成マイスター」は登録商標です。