■連載:人事考現学(著者:山本圭子 法政大学法学部講師)
ドジャースの大谷翔平選手が、奥方の第一子出産に立ち会うために、パタニティーリスト(Paternity List。日本語訳では「父親リスト」)入りしたと報道された。MLBで2011年に選手会との同意に基づき導入された、いわば父親の産休だ。出産予定の48時間前からリスト入りし、最長3日で報酬も支払われる。パタニティリスト期間を超えて、家庭の事情で離脱をする場合には報酬カットできる「制限リスト(Restrited List)」に移行できる。これらの制度は、MLBの選手会が労働組合として機構側と交渉の結果勝ち取ったものである。
昔は、来日した助っ人外国人選手が、パートナーの出産で帰国すると驚いたものだ。かの国は離婚が多いから、出産のような一大事に一緒にいないと、離婚原因になるなどと説明されていた。「おまえが生むわけじゃあるまいし、高い年俸もらって休むんじゃない」とファンに怒られていたのは、隔世の感がある。とはいえ、MLBのパタニティリストも意外と歴史が短いことにも驚いた。
パタニティリストが3日間とはいささか短いようにも感じる。アメリカの育児休業の法整備は欧州とは異なり、育児・介護・看護・病気・出産休暇を包含した無給休暇の付与を義務づける「家族・医療休暇法(FMLA)」にとどまる。
日本の雇用均等基本調査(23年度)の育児休業取得率は、男性が30.1%、女性が84.1%となっている。令和に入ってから男性の取得率も急増したが、男性の育児休業取得期間は、5日未満が15.7%、5日以上2週間未満が22%、2週間以上1カ月未満が20.4%、2週間以上1カ月未満が20.4%、1カ月以上3カ月未満が28%にとどまる。女性は9割以上が6カ月以上取得するのに対し、男性は約4割が2週間未満なのだ。
雇用保険法等の改正により、25年4月から、出生直後の一定期間以内に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、育児休業給付金とあわせ最大給付率を80%(手取りで10割相当)へと引き上げた。男性育休取得率上昇の起爆剤になるだろうか。産後パパ育休から、「パタニティリスト」に名称変更すると効果があるかも。
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