金曜日, 1月 24, 2025

最初は他人事だった 小川 麻実さん(環境・未来・各務原―PFAS汚染と市政を明らかにする会―代表)㊤

■おんな流 おとこ流~仕事を訪ねて~(68)

「水道水がどこから供給されているか、全然気にしていなかった」と話す小川さん(岐阜県各務原市内で)

化学的に非常に安定しているため自然界では分解されにくく、長期間にわたって残留する性質があることから「永遠の化学物質」と呼ばれる「PFAS」(ピーファス)。約4700種もある有機フッ素化合物の総称だ。 水や油をはじく性質があり、フライパンのコーティングや防水スプレー、ハンバーガーの包み紙など身の回りのさまざまな製品に使われてきた。代表的なものに「PFOS」(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、「PFOA」(ペルフルオロオクタン酸)がある。(井澤宏明)

2000年以降、発がん性などの健康リスクが指摘され、米国や欧州連合(EU)の公的機関では、PFOSやPFOAに対する水道水濃度や血中濃度の目標について勧告が行われてきた。

国内ではPFOSは10年、PFOAは21年から製造や輸入が禁じられたが、沖縄県や東京都多摩地区、神奈川県で米軍基地が原因と見られる河川や地下水などの汚染が明らかになり、大阪府摂津市などでPFASを扱う工場周辺の水汚染が問題になってきた。

国は20年、水道水や地下水などに含まれるPFOSとPFOAの合計で1リットルあたり50ナノグラム(ナノは10億分の1)という「暫定目標値」を設定した。が、目標値を超えても自治体など水道事業者に対応する義務はなく、米環境保護庁が23年3月に定めたPFOS、PFOAそれぞれの「規制値」1リットルあたり4ナノグラムとは大きな開きがある。

■国の暫定目標値超える

国の暫定目標値を超える濃度のPFASが岐阜県各務原市の水道水源地から検出されていたことが明らかになったのは、23年7月のことだ。

それも遡ること3年近く前の20年11月の調査で99ナノグラムを検出していたのだという。22年11月には目標値の2.6倍にあたる130ナノグラムを検出していた。

市民のほぼ半数にあたる約7万2千人が使う飲み水が汚染されていたことに不安が広がった。当時、岐阜県立各務原西高校の養護教諭だった小川麻実さん(51)は同市内の自宅が汚染された三井水源地から離れていたため、「気の毒だな」と他人事のようにしか思っていなかったという。ところが念のため市のホームページで確かめてみると、自宅も勤務先の高校も三井水源地の水を使っていることが分かった。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン

seventeen − 2 =

   

「労基旬報」メールマガジン

*厳選されたニュースで労働行政の動きをチェック
*人事・労務の実務テーマで記事ピックアップ
*先進企業事例と業界トレンドの今が分かる
*注目の裁判やイベント情報なども随時掲載
(月3回配信、無料)

「労基旬報」紙面のご案内

*月3回、実務に必須の最新情報を厳選した紙面が届く
*法改正から判例、賃金動向までポイント解説
*第一線の専門家によるトレンド解説や先進企業事例
*職場でのよくある疑問にも丁寧に回答
*電子版・オンライン版でオフィス外でも閲覧可能

購読者Web会員登録

「労基旬報」本紙ご購読者の方は、こちらからご登録ください。

人気記事