外国人技能実習制度のいま 「選ばれなくなる」前に

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外国人技能実習制度のあり方に注目が高まっている。人権侵害事案が多発するなど制度の是非を問う声も多いなか、扶桑鋼管(千葉県浦安市)では、人事評価制度や資格取得奨励など技能習得に焦点を当て、母国法人での採用といった実習後のスキームを整備することで、「ビジネスを支える仕組みになっている」という。違法な仲介手数料やパスポート徴収、パワハラや低賃金など依然として深刻な制度の課題も指摘されるなか、「選ばれる」職場に必要な視点は何か。日本ILO協議会とILO駐日事務所が12月2日に主催したディーセントワーク・セミナーから、労使の取り組みを追う。

■実習後に母国採用の道 「働きたい」職場へ尽力

扶桑鋼管は、鉄パイプの調達から加工販売を担う鉄鋼商社だ。国内4拠点、海外はアジア3拠点に展開し、グループ全体で従業員は375人(2022年4月現在)。06年から外国人技能実習生の受け入れを始め、これまでに累計119人を受け入れた。

取組みの大きな特徴の一つは、実習後の技能活用を見据えたキャリア形成・キャリアパスの視点だ。具体的には、中国、タイ、インドネシアの3カ国への事業展開を踏まえ、実習後の母国法人への採用、あるいは「特定技能」資格での就労継続にもつなげている。

これまでの受入実績と、実習後のキャリア例を表1、2に示した。母国法人でチームリーダーや管理職として活躍する元技能実習生も少なくない。同社第一管理部の笠原涼課長は「ビジネスを支える存在」と指摘している。

■安全支える語学教育

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