カギは「管理職」 新しい資本主義とは?①リスキリング

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働きながら学びなおす「リスキリング」に5年間で1兆円を投じる方針を、政府は10月に発表した総合経済対策に盛り込んだ。OECD(経済協力開発機構)による大規模なスキル調査では、日本は世界でトップレベルのスキル数値が示される一方、使用頻度は比較的低く、高い学歴に対しそれが必要とされない仕事に就く割合が高いなど「スキルギャップ」が明らかになっている。厚生労働省が今夏示したリスキリングの指針は「経営者と労働者との結節点となる管理職等の現場のリーダーの役割が鍵」とし、そのマネジメント能力向上に向けた企業側の支援を重視している。

■世界一のスキルと職場のギャップ

デジタル技術による業務効率化(DX)をはじめ、産業構造や働く環境の変化が急速に進むなか、政府は成長分野を中心に職種や産業をまたぐ人材移動の促進に向け、来夏までに労使による「労働移動円滑化のための指針」を策定する方針という。

特にこれまで日本企業の人材開発では、職場内の実務を通じた従業員教育(OJT)が重視されてきたが、経済・社会状況などの外的変化に対応するためには、職場外での教育訓練(OFF-JT)や自己啓発の強化が必要と指摘。2010~14年のOJTを除く企業の人材投資のGDP比は、米国2.08%、フランス1.78%、ドイツ1.20%などに比べて日本は0.1%と低水準になっている(厚労省「2018年版労働経済の分析」)。

ではリスキリング(学び直し)を促進する人材投資に向けて、何が求められているのか。国際的なスキル調査の結果からは、職場の視点からの課題が浮かび上がる。

OECDが加盟国を中心に33カ国の16~65歳までの約25万人を対象に実施した「国際成人力調査」(PIAAC、Programme for the International Assessment of Adult Competences;the Survey of Adult Skills)は、仕事や社会生活を送る上で不可欠な「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野の「キー・スキル」の習熟度を直接測定した。

2013年に発表された調査結果によれば、「読解力」「数的思考力」の日本の平均点は世界で1位。かつ得点の分散が少なく、格差が小さかった。「IT」に関しても平均より上の数値が示された。一方、そうしたスキルの使用頻度は低く、また大学卒以上の学歴を持ちながら、そうした学歴を必要としない仕事に就いている者(学歴超過)の割合が最も高い国の一つだった。特に女性でその傾向が顕著に表れている。

つまり平均的に高いスキルや大卒以上の学歴を持ちながらも、職場で求められないために十分に活かすことができていない「スキルギャップ」が多く生じている可能性が示唆されている。スキルは使われない期間が長期化することで劣化し、失われるため、社会経済全体の生産性の低下をもたらす。では個々のスキルを活かす職場づくりに必要な視点は何か。

■「擦り合わせ」担うマネージャー支援を

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