働くことは未来を自分で選択すること ニットが考える「自律型組織」とは

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フルリモートワークを前提としながら、働き手の幸せを軸にメンバーや顧客の信頼を構築し、事業を発展させている企業がある。「テレワーク先駆者百選」や「KAIKA賞」などの受賞でも注目されるニット(東京品川区・秋沢崇夫代表)が目指すのは、一人ひとりが未来を自分で選択する「自律型組織」だ。創業期から人事・労務を担う宇治川紗由里さんと、広報担当の中野由莉子さんに聞いた。

人事労務の宇治川さん(左)と広報の中野さん

■ルワンダで人事労務 未来の選択をあきらめない

同社は経理や総務、人事、営業事務など主に企業のバックオフィス系業務をサポートするオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」を展開。多様な専門スキルを持つメンバーのチーム体制で、個々の企業の課題に応じた業務効率化をサポートしている。

2015年の創業時からの完全リモートワーク体制が大きな特徴の一つ。約500人のメンバーは、日本全国だけでなく2割以上が海外に住む。メンバーの9割以上がフリーランスだ。

こうした組織体制のなかで、メンバー・顧客の定着率、組織活性化や社内外の信頼関係を高い水準で維持する秘訣は何か。その重要な背景の一つは、企業理念やビジョンの浸透にあると宇治川さんはこう話す。

「『未来を自分で選択できる社会をつくる』というビジョンに共感し、好きなことをあきらめずに仕事をするメンバーが集まってくれています。また私自身もそうでしたが、様々な理由から『働きたくても働けない』思いを持つ人は社会に多くいます」 

夫の海外赴任のため日本の勤務先を退職して2014年からスーダンに住み始めた宇治川さん。数年間は他国への再移住が予想され、それでも続けられる在宅ワークを探すなかで創業期の同社と出会い、専業で人事・労務を担うことを決めた。これまで居住した国は4カ国。現在はルワンダから日々業務をこなす。

「当時海外在住は私だけでしたが、『どう実現できるか』と一緒に考えてくれる仲間がいました。自分で選択した働き方を体現できていることが、『わたしもできる』というメンバーの広がりにつながっているのかもしれません」

同社のメンバーは約9割が女性で、うち子育て中の割合は6割に上る。例えばアレルギーを持つ子どもを看つつ在宅勤務する女性や、チームリーダーとして活躍するシングルマザー、あるいは家族の介護のためにUターンしたマネージャー育成者など、多様な背景を抱えながらも自らのスキルをいかし「未来を選択する」メンバーが集まる。

「旅が好きで海外を転々と移住しながら働くなど、本当に多様なメンバーにも刺激をもらっています」

同社のオウンドメディア「くらしと仕事」では、理念やビジョンを体現するメンバーたちの働き方・生き方を紹介している(写真下の文は各記事の見出し)。


同社の企業理念は「『働く』を通じて、みんなを幸せに」。「働き手」「顧客」「社会」それぞれに対する「三つの責任」のうち、「働き手の幸せ」を第一の責任に位置付ける。理念やビジョンに共感し働き手がそれを「体現」することが、顧客や社会の課題を解決する付加価値の高い仕事につながっているようだ。

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