コロナ後見据え人手不足が急増 どうつくるキャリアとスキル

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企業の人手不足感の上昇が止まらない。帝国データバンクによれば、8月時点で人手不足の企業割合は49.3%とコロナ禍前の水準まで上昇。業種別では「旅館・ホテル」(72.8%、正社員)や「飲食店」(76.4%、非正社員)で7割を超えた。コロナ後に向けて必要な視点は何か。雇用調整助成金(雇調金)をはじめとした雇用維持政策を踏まえた人材育成・確保に向けて、各産業の声から探る。

■雇用維持「スキル育成のため」

7月に出された厚生労働省の「アフターコロナ期の産業別雇用課題に関するプロジェクトチーム」報告書では、雇調金がコロナ禍の雇用維持に大きな役割を果たした産業の実態がうかがえる。

「事業継続のための運転士の雇用を、雇調金で何とか維持できた」(バス運送業)、「雇調金特例がなかった場合、スキルのある従業員の雇用が確保できず、需要回復期に新たな人材への教育・訓練に時間を要する」(宿泊業)など、急激な需要の増減のなかでの雇用維持が、事業継続や需要回復後の製品・サービスの質の維持にも重要であることが分かる。

一方、休業中は特に従業員のモチベーション維持が求められるが、これはコロナ後も通底する課題だ。飲食業界では「他業界が採用活動を積極化すると人材が流出してしまう」との問題意識のもと、「従業員の職場定着に向けて既存社員のキャリア形成支援が重要。自分のキャリアパスについて考える機会が必要であることがコロナ禍で判明した」と指摘した。

自動車製造業は、「スキルを持った高技能人材に支えられ、育成に多くの時間・工数を要することから、厳しい経営環境でも原則として雇用維持を図る」と指摘。休業中の取り組みとしては、「多くの企業で生産現場での技能習熟訓練や改善活動、またこの機会に改めて労使コミュニケーション活動を行うなど、現場の士気へのマイナス影響を小さくする努力が見られた」という。

■国際的にも手厚い雇用保険財源

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