雇用保険制度研究会はこのほど、育児休業給付の見直しに向けた議論を開始した。欧州諸国の制度を参考にしつつ、非正規労働者はもちろん、フリーランスや自営業者なども対象に含めた子育て支援制度の設計を模索する見通し。保険方式の維持か、税方式への移行かといった財源問題がつきまとうが、特にドイツの「両親手当」に賛同する意見が多く、子どもの出生前に無収入だった親にも一定の保障額を給付する可能性が浮上している。
■財源「保険方式」限界も
子育てする女性労働者の雇用継続を目的に創設された育休給付だが、制度の性質は「休業中の所得を保障」へと変化。給付水準の相次ぐ引上げに加えて、2020年法改正で失業等給付と異なる給付体系に切り離されたことをみても明らかだ。
また少子化対策としての側面が強く、リスク分散・再分配を担う制度の守備範囲を超えていると指摘する声は大きい。国会の附帯決議などが要請する「フリーランスも含む全就業者に対する子育て支援体制の構築」ともなれば、保険方式のまま制度設計するのは困難との見方が大勢を占める。
この日の研究会では、厚生労働省が欧州諸国の育休給付制度を紹介。スウェーデン・フランス・ドイツ・イギリスの4カ国の制度の概要を示したが、なかでも参集委員から説明があったドイツの制度に対しては、その他の参集委員からも賛同する意見が表明された。
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。