開放的処遇施設と呼ばれた松山刑務所から逃走、瀬戸内海を泳いで渡った脱走犯。大阪府警富田林署面会室のアクリル板を蹴破り逃走、自転車で「日本一周」を装った脱走犯。世間を騒がせた脱走犯の綴る手記と重ねた取材の異色作。
表題と一線を画し、逃走・脱走のデメリットなど司法への問題提起も怠らない。被告人の収容前逃走や保釈中の逃走には逃走罪が適用されず、保釈保証金に頼る逃亡・証拠隠滅を防ぐ仕組みの脆弱さを指摘する。欧米では保釈保証会社が事業として成立、逃走防止の監視やGPS装置の装着を担うという。
日本の司法に一定の理解を示すも、人質司法、自白偏重主義、精密司法の起訴・保釈率の低さにも言及する。