リハビリ計画の相談員や社外報のナレーターなど、柔軟な業務マッチングで障害者各人が能力を発揮し、職場環境の改善にも結び付けている事業所がある。看護や介護、保育など包括的なケアを提供する在宅支援総合ケアーサービス(千葉市、従業員数385人)だ。依田和孝社長は「好きなこと、得意なことでなければ持続的にモチベーションを保つことは難しい。そのためには本人に聴くことが大事で、健常者でも障害者でも変わらない」と話す。実際に同社で働く2人を例に、個の力を引き出すマネジメントについて、依田社長と石田玉緒・営業事業本部統括マネージャーに聞いた。
■専攻生かし相談業務へ 「資格持っていた」と気づき
同社は千葉市を中心に、訪問看護、訪問介護をはじめ、保育、教育、運動、訪問鍼灸など幅広い事業を展開。多様な専門職が在籍し、地域での在宅ケアを支援する医療・介護を含めたワンストップでの総合サービスの提供が特徴的だ。
障害者雇用については継続的に取り組んでおり、各事業所に数人ずつ配置。特に健常者と区別することのない勤務形態としている。
中川莉紗子さん(27)は入社5年目。片麻痺の身体障害があり、パソコンや事務作業などは主に左手で行っている。面接時は事務職希望だったが、会社との相談で通所型リハビリデイサービスセンターの相談員業務を担当することになった。
「面接後に依田社長から相談員の業務はどうかと電話があり、せっかくだからと挑戦することにしました。実は、大学で心理学を専攻し『社会福祉主事』の資格があったものの、相談業務を行えるということはその時初めて知りました」
入社後2年ほど先輩の補佐を務め、その後はメインの相談員として勤務。利用者や家族の要望を聞き、ケア・マネージャーなどとも相談しながら機能訓練に関する「通所介護計画書」を作成する業務だ。
「車の運転ができないため、利用者さんが施設に来ている時になるべく『お家ではどうですか』など話しかけるようにしました。利用者さんからも『元気がもらえる』と言っていただくなど、仕事が楽しくなっていきました」
石田マネージャーは、「『わたしもがんばらなきゃ』と思わせられる仕事ぶりで、特にケア・マネージャーから厚い信頼を得られたことは大事な点」と評価。
依田社長は「障害者が一緒に働くことによる職場への影響力は大きい。中川さんは国のルールや介護保険法についても貪欲に勉強していて、そうした姿勢は利用者や他のメンバーにも良い影響を与えているのでは」と話す。
中川さんは「最近新しい職場に移り、介護保険だけでなく医療保険も活用したサービス提供に向けて、さらに知識をつけていきたい」と先を見据える。
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