中央最低賃金審議会は8月2日、2022年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申した。引上げ額の目安としてA・Bランクに31円、C・Dランクに30円を示し、最低賃金は全国加重平均で過去最高となる31円上昇する見通し。採決に持ち込まれた21年度審議の反省から、物価3%上昇などデータに基づいた丁寧な議論を重ねた。答申のとりまとめは13年度以来9年ぶりに8月にずれ込んだが、公益委員が基準とすべきと固執した引上げ率3.3%で最終的に決着をみた。
■引上げ率3.3%に固執
目安小委員会の21年度審議では、使用者側委員がコロナ禍で一律28円と過去最高の目安を示すことに猛反発。報告のとりまとめに採決が持ち込まれる異例の事態に発展した反省から、22年度審議は例年よりも丁寧に議論が重ねられた印象だ。
まず労側は、急激な物価の上昇を考慮して「平均1千円に向けてこれまで以上に前進する目安が必要」と強調。特に地域間格差を解消するため、「C・Dランクの底上げ・額差改善に繋がる目安とすべき」と訴えた。
これに対して、使側は新型コロナや急激な物価高・円安の進行などの影響を各種データから読みとり、明確な根拠に基づいた納得感のある目安額を提示できるよう慎重な審議を行うべきと主張。22年度はコロナ禍で雇用を維持する企業の「通常の事業の賃金支払能力」を最も重視すべきとした上で、21年度答申に対する地方の不信感・不満が払拭できるように、「目安額を導き出したロジックも納得できるものを示すこと」を強く求めた。
労使の主張の隔たりが大きいことから、目安小委は意見の集約を断念。最終的に、Aランク6都府県とBランク11府県に31円、Cランク14道県とDランク16県に30円の引上げの目安を示すことを提案し、目安小委員会として公益委員見解を中央最低賃金審議会に報告することが了承された。
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