これからの労働時間制度に関する検討会は7月15日、厚生労働省が示した報告書案を了承した。労働時間制度全般について、見直しの方向性を整理。裁量労働制については、「本人同意を得て適用し、撤回されれば適用を解除する仕組み」のほか、「健康確保措置のメニューの追加・充実」「専門業務型も含めた労使委員会の活用」「定期報告の負担減や労使決議・協定の本社一括届出」などと踏み込んで提案。一方、年次有給休暇など他の制度に関しては、働き方改革関連法施行後の状況をまずは実態把握すべきだとして、具体的な提案を先送りした印象だ。
■決議の本社一括届出容認
検討会は、実態調査の結果を踏まえて裁量労働制の見直しを検討。①自律的に働くことの選択と業務遂行の裁量の制度的な担保、②健康と処遇の確保の徹底、③労使コミュニケーションの充実の3点を軸に、制度改善に向けた具体的な方向性を報告書にまとめる。
①については、まず専門業務型・企画業務型を問わず、使用者が制度を確実に説明した上で、適用時に本人同意を得るべきと明記。加えて、制度適用が適切でないと判断し、同意が撤回されれば適用から外れることを担保すべきと訴えた。
また同意の撤回とは別に、健康影響が懸念される場合に適用解除する措置の必要性も強調。業務量が過大で労働者の裁量が事実上失われたと判断される場合に、制度を適用することができないことを明示するとともに、実際に労働時間などの基準を設けて、該当した場合に適用解除する措置の制度設計を求めた。
このほか対象業務については、働き方改革関連法から削除した企画業務型への「事業運営事項に関する企画・立案・調査・分析のPDCAを裁量的に繰り返す業務」の追加などには触れず、経済社会や働き方に対する労使のニーズの変化に応じて検討するとの記述にとどめた。一方、対象労働者に関しては、指針で示す企画業務型の「少なくとも3年ないし5年程度の職務経験」などを、具体的な要件として法令レベルに格上げすることを示唆している。
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