国際労働機関(ILO)は6月に開かれた年次総会で、安全で健康的な職場環境の原則(労働安全衛生の原則)を、国際的に順守すべき最低限の労働基準である「中核的労働基準」の5番目の分野として追加することを決めた。187の加盟国はこれらの基準について、条約批准の有無を問わず尊重し実現する義務を負うとされる。新基準は2024年12月に発効する見通しだ。
■コロナ禍で重要性が浮き彫りに
ILOの中核的労働基準は、「結社の自由・団体交渉権」、「強制労働の撤廃」、「児童労働の廃止」、「職業・雇用上の差別撤廃」の4分野と対応する8条約を規定。新基準はここに「労働安全衛生」分野の2条約を加える(表)。
背景の一つには、新型コロナウイルスの世界的な流行がある。ILOで採択された決議文の前文においても、労働安全衛生について「ディーセントワークの基本」とした上で、「COVID-19のパンデミックにより、労働安全衛生が極めて重要であり仕事の世界に深刻な影響を与えることが説得力のある形で示された」と説明している。
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。