アルゴリズムが労働分野でも焦点 食べログ事件が問う公正性の担保

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飲食店の口コミ評価サイト「食べログ」の裁判で焦点となったアルゴリズム(計算手順)。焼き肉チェーン店を展開する企業がアルゴリズムにより「不当に評価を下げられた」と訴えた裁判で東京地裁は6月16日、一方的に評価基準を変更したことが独占禁止法違反にあたるとして、食べログ運営会社に3840万円の損害賠償を命じた。ここで問題となった「アルゴリズムの透明性」は、巨大IT企業との契約で働くいわゆる「プラットフォーム労働」でも規制の焦点となっている。

■労働者の格付け、EU指令案も公正性を規定

アルゴリズムの透明化は、配車アプリや宅配ドライバーなど、プラットフォーム事業者と業務委託契約を結んで働くギグ・ワーカーなどプラットフォーム労働の規制においても重要な焦点となっている。

国際労働機関(ILO)が21年2月に発表したレポート「変容する仕事の世界におけるデジタル労働プラットフォームの役割」(邦訳書が一灯舎から22年6月刊行)によれば、2010年から20年への10年間で、世界のデジタル労働プラットフォームの数は142社から777社へ5倍に増加。同書は「アルゴリズムによる管理がデジタル労働プラットフォーム労働者の日常の体験を規定している」と述べている。

アルゴリズムで決定する格付けが、「実質的に仕事を断る労働者の能力や自由を制限している。格付けに対するマイナスの影響は、仕事へのアクセスの削減、ボーナスの喪失、罰金、アカウントの停止にさえつながる」と指摘。労働安全衛生や社会保障などの面でも、大きな課題があるとしている。

EUが2021年12月に採択した「プラットフォーム労働における労働条件改善に関する指令案」は、従事者の雇用関係上の地位を法的に推定するとともに、「アルゴリズム管理の公正性、透明性、説明責任の確保」を規定。具体的には、アルゴリズムによって管理される自動化された監視と意思決定のシステムについて、その際に考慮される内容や重要度などを含めた詳細な情報を、就業初日までに労働者に書面で提出することを事業者に義務付ける。

アプリ利用型のタクシー配車/配送の部門に従事している回答者の中で悪影響なしに仕事を断る、あるいは取り消すことができない労働者の割合(同ILO調査から、国別)

さらにそうしたシステムによる決定が、労働者の安全衛生へのリスクや過度なプレッシャー、身体的・精神的健康へのリスクになっていないかを定期的に監視・評価する事業者の義務があり、その役割を担う人員は、自動化された決定を覆したことを理由とする解雇や懲戒処分などの不利益取扱いから保護される、といった規定を定めている。

■公取委の意見書が判断の決め手

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