厚生労働省は7月中に、副業・兼業の促進に関するガイドラインを改定する方針だ。7月1日までに労働政策審議会の職業安定分科会、労働条件分科会に改定案を示して報告。従業員の副業・兼業を許容しているか否かの諾否のほか、条件付きで許容している場合にはその条件も合わせて、企業がホームページなどで公表することが望ましいと新たに書き加える。情報開示に強制力はないが、労使各側委員からは審議を経ない改定に不満の声があがった。
■ガイドライン改定へ
副業・兼業の拡大は、6月に閣議決定した新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画などで示唆。副業・兼業を実施した労働者のほうが、後に起業家になる確率が上昇するほか、失業する確率が低下するとメリットを強調した上で、ガイドラインを改定して対応状況の開示を企業に推奨すると明記していた。
さらなる副業・兼業の促進に向けて問題視したのは、規模が大きい企業ほど副業・兼業の解禁が遅れている点と、許容に際して多くの企業が条件を設定している点。内閣府の調査(図)では、勤務先が禁止している雇用者割合は、規模の大きい企業ほど高い。またパーソル研究所の調査(図)によると、正社員に副業・兼業を容認する企業のうち、全面容認は23.7%にとどまっている。
ガイドラインの改定ではまず、企業に求める対応の新たな項目として、「副業・兼業に関する情報の公表について」を追加。その上で、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するために「副業・兼業を許容しているか否か」の諾否とともに、「条件付きで許容している場合にはその条件」を併せて、「企業は自社のホームページなどで公表することが望ましい」と明文化した。
他方で、労働者の対応についても加筆する。副業・兼業先の求職活動を行う場合には、「自らのキャリアを念頭に、企業が公表した情報を参考にすること」が、適切な選択をする上で有効な旨を明示している。
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