不妊治療など多様なケア対象に在宅勤務 グラフィコが考える公正な働く環境とは

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山道昌幸・総務人事グループ長

化粧品や健康食品などの企画製造販売を展開するグラフィコ(東京都品川区)はこのほど、不妊治療をサポートする年5日の治療休暇と短時間勤務制度を整えた。不妊治療を含め、育児や介護、障害を持つ家族の支援などを担う社員が柔軟に働ける在宅勤務制度を整備している。管理部の山道昌幸・総務人事グループ長は「多様な事情のなかで誰もが当たり前に働ける環境をつくるために、従業員一人ひとりが公正な考え方を持つことが重要」と強調する。こうした姿勢は「モノ創りで、笑顔を繋ぐ。」が理念の同社商品開発にも通じているようだ。

A・B社員で待遇差なし 中抜けも可能「ありがたい」

「よもぎ温座パット」「なかったコトに!」など、ユニークなネーミングも印象的な同社商品は、社会進出が進む女性を健康面でサポートする視点が特徴的だ。

同社の従業員54人のうち、女性は約6割を占める。仕事と生活の両立支援には従来から力を入れており、今年1月には新たな在宅勤務制度を始めた。原則出勤(月4回まで在宅勤務可能)の「A社員」と、週1~2回出勤で残りは在宅勤務の「B社員」の区分けだ。B社員の概要を表に示した。

制度適用の条件として育児や介護のほか、冒頭の不妊治療を含めた「治療」や、障害を持つ同居人の世話などの「支援」と、多様な事情を想定して制度設計。A・B社員で基本給や賞与算定など待遇差はない。

山道さんは「『休業する』という選択の前に、『両立しながら働くことができる』という会社からのメッセージ」と力を込める。

「働き方の選択肢があることで、子どもを育てながらでも安心感を持って勤務できる」と話すのは、広報を担当する販売促進部プロモーショングループの合原(ごうばる)七瀬さんだ。合原さんは在宅勤務(B社員)、かつ6時間の時短で働いている。

「子どもの健康診断や予防接種は平日のことも多く、その時間に中抜けできることもありがたい」

同社の在宅勤務では、仕事と仕事の間に業務外のことを行う「中抜け」を認めている。合原さんのような6時間勤務の場合、例えば9時から昼食休憩をはさんで15時まで働き、その後子どもや家の用事をし、21時から22時まで仕事の残りを片付ける、といった働き方も可能だ。

体調面を考慮し、勤務時間が22時~5時の深夜に及ぶことは認めていない。その他の在宅勤務に関する遵守事項は就業規則に定めるほか、服務規律を在宅勤務規程で定めている。

■どうつくる「言える環境」 治療休暇や時短でケア

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