中小企業の下請取引の適正化に向けた動きが、活発化している。親事業者である大企業は、価格決定方法や独占禁止法上の優越的地位の濫用行為などについて、いま一度点検する必要がありそうだ。
5月24日には、下請中小企業振興法に基づく振興基準の改定案が明らかになった。対価の決定方法をめぐり、親事業者と下請事業者に「少なくとも年に1回以上の協議」を要求。特に親事業者に対しては、労務費やエネルギー価格などのコストの上昇を理由とした下請事業者からの価格交渉に応じることを求め、場合によって指導・助言の対象となり得る旨も示した。
また納品された物品のやり直し・損害賠償について、親事業者と下請事業者が合理的な割合で負担することとし、「一方的に下請事業者に負担させない」と明記。下請代金の支払期日については、「物品の受領後60日以内に親事業者が支払うことを徹底する」と下請代金支払遅延等防止法の趣旨を明確化する。
一方、優越的地位の濫用行為の防止に向けては、公正取引委員会が対策を強化する。審査局内に設置する優越的地位濫用事件タスクフォースは昨年度1年間に、違反につながる「減額」「従業員等の派遣要請」などの事案46件に注意を実施。また荷主と物流事業者との取引に絞り込んだ調査では、書面調査で労務費などの転嫁拒否が疑われる荷主19人に立入調査を実施したほか、荷主641人に「不当な給付内容の変更・やり直し」「代金の支払遅延」など具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。
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