女性活躍法の「行動計画」誰のため? 改正法施行で101人以上事業主に策定義務

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4月に改正女性活躍推進法が全面施行され、一般事業主行動計画の策定や情報公開義務が101人以上の事業主に拡大された。厚生労働省の地方労働行政運営方針も「報告徴収(実態調査・是正指導)等の実施により、法の着実な履行確保を図る」と今年度の重点項目の一つに掲げる。特に中小規模事業者で対応が急がれるが、そもそも計画策定や情報公開は組織にとってどのような意義や価値があるのか。静岡県富士市で福祉施設を運営する社会福祉法人美芳会(従業員数158人)で人事・労務を担当する大塚渉爾さんに聞いた。

■「自由さ」活用し採用面でメッセージも

2016年に施行された女性活躍推進法は、①自社の状況を把握し課題を分析する、②行動計画を策定・公表して取り組む、③点検・評価するとともに情報を公表する――というサイクルを通じて、従業員比率や管理職比率など女性の活躍を推進する枠組みだ。各事業主の行動計画や公開情報は、「女性の活躍推進企業データベース」などウェブポータルサイトで誰でも見ることができる。

課題の分析や具体的な行動、情報公開などの要となるのが「一般事業主行動計画」だ。20年3月に労働政策研究・研修機構(JILPT)が発表した「女性活躍と両立支援に関する調査」によれば、18年1月の調査時点での同行動計画の策定率は、従業員100~299人の企業で39%、同30~99人で8.8%となっている。

現時点での策定率は向上していることが予想されるが、課題分析から策定、評価を通じた継続的な取り組みにより、計画の実効性を高めていくことが求められる。

大塚さんは計画策定のポイントについて、「行動計画は内容に自由性が高いことが特徴です。会社によって、長期勤続者の増加や年休取得率向上、または男性育休取得率などそれぞれ課題は違うはず。どこに力を入れるのかを組織内外に宣言することが重要」と強調する。

行動計画は2~5年のスパンで更新し、その都度取り組みを評価して次の計画に活かす仕組み。美芳会での近年の行動計画を表に示した。

残業時間削減や年休取得率向上は、初回計画策定時から力を入れてきたが、20年度以降、早期退職防止のための職場面談実施やスムーズな育休復帰支援に向けたWeb面談などの計画を策定。今年4月に更新した最新の計画では、「地域の子どもの施設見学及び若者のインターンシップの受け入れ」を盛り込んだ。

「人手不足が深刻な介護・福祉業界のなかで、興味を持ち未来の担い手になってくれる若い子たちを増やしていく種まきの意味もあります」と大塚さん。近年働く場所や雇用形態などの選択肢が広がるなか、若い世代も働きがいへの関心が強まっている手応えを感じると指摘し、こう続けた。

「採用に関する自社のメッセージ性といった、求人票だけでは読み取れない定性的な情報を、公的なポータルサイトを通じて伝えられるのは重要です。手間がかかる面はありますが、長期的に組織体制を整えていくためと捉えて取り組んでいます」

女性活躍や両立支援の取り組みを継続するなかで、同会は「プラチナえるぼし」や「プラチナくるみん」、「ユースエール」などの認証を取得し、ホワイト企業ランキング全国18位に選出。客観的な視点による評価を、採用面に活かす取り組みにも力を入れている。

■指標を共有すると自社の改善点が見えてくる

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