我慢に代わる一人ひとりの選択肢を提案 漢方のツムラが#OneMoreChoiceプロジェクト

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生理痛など心身の不調を職場に伝えられず、普段と変わらぬ振りをして1日を過ごす――そんな「隠れ我慢」を減らし、それに代わる選択肢を提案する取り組みが、ツムラ(東京都港区)の#OneMoreChoiceプロジェクト。社会課題の解決に向けた社外向け広報発信活動と同時に、部署を横断した社内ワーキンググループで従業員向け制度を刷新するなど、組織内外の両輪で進めているのが特徴的だ。その実践の内側を、コーポレート・コミュニケーション室広報グループの宮城英子さんに聞いた。

お話を聞いた広報グループの(右から)宮城英子さん、大山尚美さん、野村貴久さん
不調を我慢して家事や仕事をしているか?

■女性の8割が「隠れ我慢」 漢方の視点からPR

プロジェクトを開始した2021年3月8日にあわせ、同社は全国の20~50代の女性1万人を対象にした「隠れ我慢に関する実態調査」の結果を同3日に発表。心身の不調を我慢していつも通り家事や仕事をすることが「頻繁にある」と答えた女性は34.3%、「時々ある」(44.9%)を合わせると、約8割(79.2%)の女性が「隠れ我慢」をしていることが分かった(図)。

一人ひとり異なる生理やPMSのつらさを可視化する 「#わたしの生理のかたち」。新聞広告や主要駅など 交通広告を展開した(提供:ツムラ)

プロジェクトでは「女性の不調に、我慢に代わる選択肢を。」を掲げ、インターネットによる短編動画の配信や、隠れ我慢レベルを測定できる「隠れ我慢チェッカー」の掲載を皮切りに、著名人へのインタビュー、隠れ我慢エピソードをイラスト化した「隠れ我慢画」、生理やPMS(月経前症候群)によるつらさを可視化した「#わたしの生理のかたち」といった多彩な広報企画を展開。昨年12月の「#我慢に代わるわたしの選択肢」と題したエッセイなどの作品投稿コンテストには、一般から3千を超える応募が寄せられた。

「隠れ我慢」に対する社会的関心や潜在的な課題の大きさがその反響からも伺われるが、医療用漢方薬メーカーのツムラがなぜこうしたプロジェクトを始めたのか。

「ツムラは創業時から、『中将湯(ちゅうじょうとう)』という婦人薬の製造・販売をはじめ女性の不調に寄り添ってきました」と宮城さんはいう。

近年同社が一般生活者に実施した調査では、心身の不調を誰にも相談できず、一人で抱える人が多いという実態が見えてくるなか、現在の主力事業である漢方の視点がプロジェクト開始につながったと、こう続けた。

「漢方薬は一人ひとりの症状や体質に合わせて処方するのが特徴です。同じように、体調が悪い時にはその人に合った対処法、例えば受診や服薬以外にも『休む』とか『誰かに相談する』など、色々な選択肢があるべき。その人にとって心地よく健やかな状態が重要だと考えました」

■まず自らの組織で 部署横断のWG(ワーキンググループ)

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