厚生労働省は5月30日、雇用保険制度研究会の初会合を開催した。主な論点として、「基本手当の効果検証とその運用」「教育訓練給付、求職者支援制度の効果検証」「非正規雇用労働者に対する支援策」「育児休業給付とその財源」の4点を提示。勤労者皆保険の実現を目指す政府方針も見据えて、雇用保険の適用要件「週所定労働時間20時間以上」の緩和や、フリーランスなど雇用労働者ではない者の育児期間中の生活保障を行う制度の構築などが焦点になりそうだ。
4月に施行したばかりの改正雇用保険法だが、厚労省は審議会での制度設計の議論や法案の国会審議で、多くの課題が指摘されたと強調。研究会は4つの論点について、中長期的視点に立って対策の方向性を整理して、労働政策審議会雇用保険部会に報告する方針だ。
基本手当については、適正化に向けた効果検証を行う。率や日数といった給付水準はもちろん、改正法で3年間延長した各種暫定措置、65歳以上の複数就業者の雇用保険の試行的な適用なども含めて、就職率や再就職後の賃金水準などにも着目しながら費用対効果などを深く分析する。
またデジタルガバメントの推進の観点から、失業認定手続の簡素化も検討。従来のハローワークへの出頭を前提とする手続を改め、最新のデジタル技術によるオンライン化や、補完的手段の活用によって利用者負担の軽減に着手する。
教育訓練給付や求職者支援制度も、雇用の安定性や労働条件の向上の効果を検証。特に教育訓練給付では、成熟産業から成長産業への移動を促す指標を新たに導入するなどして、指定講座の偏りを是正する見通しだ。
非正規労働者に対する支援策、育児休業給付とその財源の論点に関しては、政府が勤労者皆保険の実現を目指す方針を打ち出したこともあり、参集委員から「フリーランスのセーフティネットの在り方を考える時期にきている」「雇用保険とは別の類似した制度を構築する必要がある」などとの意見が相次いだ。
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