保険分野をはじめデジタル、法務、経理など高度専門人材の獲得と育成に向けて、損害保険ジャパン(東京都新宿区、白川儀一社長)は4月以降に独自のジョブ型制度の運用を順次始めている。背景には、強みや専門性を発揮する働き方の選択肢を用意することで、社員が「なりたい自分」を実現するための自律的キャリア形成を促進する狙いがある。「MYパーパス」の実践を含め個の働きがいを支援する人事制度の設計と運用について、人事部企画グループの中松武リーダー、山本祥太、有木康人・両課長代理に話を聞いた。
■300人規模で導入 新卒では専門5コース
損保ジャパン版ジョブ型制度の概要は、①社内に特定専門領域のジョブ型従業員区分を新設(22年4月から)、②そのジョブ型制度に合わせて新卒の「ジョブ型コース」採用を開始(23年4月入社から)、③部店長クラスにジョブグレーディングを導入し、職務記述書に基づき職務内容を全社開示(22年7月から)――の3点だ。
①のジョブ型制度に基づく各専門領域は、将来的に総数300人程度の規模を見込む。制度の詳細は未公表だが、すでに募集を開始している②の新卒採用の公開情報(表に抜粋)から、その概要がわかる。
SNSのLINEによる顧客対応やAIを活用した迅速な事故判定など、同社が先進するデジタル面だけでなく、アクチュアリー(保険数理士)や経理など幅広い領域を設定。
各専門領域ごとに設けた「ジョブファミリー」内の部門に異動を限定し、専門性の高さや実務実績・職務に応じて処遇を決めることで高度専門人材の獲得と育成を目指す。対象としては「全社員がジョブ型へ転換することも可能(山本さん)」な制度設計としている。
②の新卒向け「ジョブ型コース」は、①のジョブ型制度にあわせた5つのコース(同表)で、23年4月入社向けのエントリーをすでに受け付けている。入社後は各コースの専門領域内での異動で一定期間勤務した後、引き続きジョブ型で勤務するかメンバーシップ型で勤務するかを選べる仕組みだ。
③の部店長クラスのジョブグレーディング導入は、総数270人程度。全社へ公開する職務記述書の内容は、例えば各部店ごとに設定するミッションや責任、数値的な目標に加え、必要なスキルや知識、経験などを記入する。職務の明確化とともに処遇にもメリハリをつける。
要件や情報を社内にオープンにし、個々の社員がキャリアの先に見据える具体像を例示することで、一人ひとりの自律的な学びやキャリア形成支援を目指すという。
■企業内大学や社内副業支援も キャリア「自ら選んでいく」
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。