労働政策審議会障害者雇用分科会はこのほど、障害者雇用率制度について議論を行った。制度の対象外となっている週所定労働時間20時間未満の短時間労働者の取扱いをめぐり、希望する障害者の雇用機会を確保することで意見が一致。対象者の範囲やカウント方法など、制度の詳細を今後の議論で詰める。他方で、就労継続支援A型の利用者を雇用率制度の対象から除外することについては賛否で意見が分かれており、大胆な見直しは困難な情勢といえそうだ。
■A型の取扱い意見分かれる
この日の分科会では、障害者雇用率制度の各論点に対し、厚生労働省が対応案を提示した。
まず週20時間未満の短時間労働について、いずれの障害種別でも希望者が一定数存在し、特に精神障害者での増加傾向が顕著と指摘。また症状の悪化や体調不良により、一時的に20時間以上働けなくなるケースも少なくないとして、希望者に対して雇用機会を確保することを提案した。
公労使各側の委員は、「実雇用率としてカウントできるインセンティブは企業にとって大きい」「雇用ゼロ企業や中小企業の最初のステップとして有効」などと発言。制度の詳細に対しては多様な意見が出されたが、次期制度改正で週20時間未満の障害者を算定対象に加えることで合意した。
制度の詳細は今後詰めるが、対象者を「週所定労働時間10時間以上20時間未満」に限定することで意見が一致した。
一方、最小カウント数を「0・5人分」とする現行の算定方法(表)に照らすと、「10時間以上20時間未満を0・25人分とカウントする」のか、「10時間以上20時間未満を合算した上で、40で除した数をカウントするのか」など複雑化するのは確か。現実的には、「身体・知的障害者の重度障害者」と、増加が顕著な「精神障害者」の「10時間以上20時間未満」に対象を絞り込んで、「0・5人分とカウントする」ことが考えられる。
また法定雇用率の算定に「10時間以上20時間未満」を含めるのかも論点になるが、雇用義務の対象とはせずに実雇用率の算定だけにとどめる案が有力視されている。
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