ランドセルや鞄など革製品を製造販売する土屋鞄製造所(東京都足立区、土屋成範代表)が、最長4年という業界でも異色のインターン受け入れを始めた。同社は近年、SNSなどを活用する新卒採用を展開し、エントリー数を50倍超に増やすなどZ世代(90年代中盤以降生まれ)の就活生の注目を集める。在学中を通じモノづくりの実務的就労に携わることも可能な取り組みの狙いを、人事本部人材開発課の西島悠蔵課長に聞いた。
■コロナ禍で失われる関係性 「自分の強み見つけてほしい」
インターンの受け入れは、工房での製造体験や商品企画サポート、店舗販売やイベント企画などを中心に40以上の職種を用意。時給1100円以上で日数は週1日から学生の都合に合わせて設定し、オンラインでの参加も可能だ。最大受け入れ人数は全従業員の7分の1にあたる100人で、すでに50人が就業体験を始めているという(3月22日現在)。
きっかけは、採用面接のなかでの学生たちの声だったと西島課長は話す。
「コロナ禍であまり学校に行けず関係性がつくれていない、ツイッターで見つけたサークルに入ったものの一度も対面で会ったことがない――そんな声を聞く中で、学生同士や学外の大人や社会とのつながりが失われている状況に、何かできることはないかと社内でも話していました」
切実な社会課題への問題意識とともに、「とことん人物を見て寄り添う」という同社の新卒採用のスタイルも、今回のインターンの取り組みにつながっているという。
同社は2021年度入社の新卒採用で、SNSを活用した多様な採用活動を展開し、エントリー数が前年の57人から2000人超へと大幅に増加。22年度採用からは、マニュアル的に自己PRを列挙するような「エントリーシート」を廃止して全応募者と直接面談を実施。エントリー数は3000人超と、2年間で50倍を超えた。
「学歴などカテゴリーで判断するのではなく、その人にしかない持ち味や価値観を見極めたいとエントリーシートを廃止しました。その分面接でのハードルはより高くなっています。そうした中でインターンシップを始めてみて、面接で対面した印象以上に、良い持ち味を出してくれる学生もいる。色々な場面で、自分でも気づいていない強みやその人らしさを発揮してもらいたいと考えています」
■SNSの交流基点に 毎週報と毎月の1on1
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