無効解雇救済に選択肢 解消金支払で労働契約が終了

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解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会は4月11日、厚生労働省が示した報告書案を了承した。解雇無効時に、労働者が請求した金銭を使用者が支払うことで労働契約が終了する制度として、共通点の多い「形成権構成」と「形成判決構成」に絞り検討。全ての解雇を対象とし、訴えの取下げを可能とするなど権利の性質の方向性をまとめる一方で、労働契約解消金の論点などは政策的に判断すべきとして選択肢を示すにとどめた。

■額の設定・構成は政策判断

検討会は導入の是非を含めて、労働政策審議会が最終判断することを前提に、解雇無効時に労働者が解消金を請求し、使用者が支払うことで労働契約が終了する制度について検討を重ねた。

報告書案では、仮に導入する場合の制度の骨格として、労働者の権利行使で解消金債権を発生させる点で共通する「形成権構成」と「形成判決構成」に法技術的に絞られると強調。その上で、権利の法的性質や解消金の詳細などについて方向性や選択肢を整理した。

無期労働契約の解雇の場合の制度の方向性をみると、まず「全ての無効な解雇」を対象とすると明示。解雇を金銭支払で許容するものではない制度の趣旨や、労働者の選択肢を増やす観点に照らし、個別の法律で禁じる差別的解雇など、いわゆる禁止解雇も全て対象に含めることで合意した。

権利発生要件は、「当事者間に労働契約関係が存在すること」「使用者による解雇の意思表示がされたこと」「当該解雇が無効であること」の3点に集約。権利行使の方法は当面、「訴えの提起」と「労働審判の申立て」に限る考えを明記した。

意思表示の撤回に関して、労働者の権利行使の場合は判決などの確定時までは取下げができる方向性を示した。これに対して、使用者が解雇の意思表示を撤回したとしても、解消金の支払請求を妨げる事由とはならないと整理。また労働者が権利を放棄し得るかについては、解雇の意思表示前は双方の合意があっても無効、解雇の意思表示後は労働者の自由意思に基づいたものであれば有効と、労使間の交渉力に鑑み整理している。

このほか、権利行使の期間は「少なくとも2年程度は確保する必要がある」と強調。法技術的には可能な解消金債権の相殺・差押禁止とともに、政策的に判断すべきと結論づけた。

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