■基本は「ウェルネス」、「サンクスカード」が力
経営陣を含めた職員全員の対話の積み重ねを踏まえ、「日本一ウェルネスな観光協会」に向けて経営方針を刷新した北中城村観光協会(沖縄県中頭郡、島田勝也会長)。新方針を職場のルールに落とし込んで就業規則を再構築すると同時に、他の観光協会や事業者にも広く知ってもらおうと全文をネット公開するという取り組みも進めている。給与評価の面を含め、又吉演事務局長、原口達樹CFO(財務責任者)にお話を聞く。
■「観光のプロ集団」へ まず職員のウェルネスを
同協会では、全国的に低迷する観光協会の労働条件も一因となり、2016年の創設後5年で離職率が80%超に上っていたことを前編で紹介した。一方、IT・デジタル化に伴う産業構造の変化のなかで、職員に求められるスキルはますます多様化・複雑化し、コロナ禍の影響も深刻化する状況がある。
こうしたなかで、「観光を通じた地域の発展」と「職員の幸せ」を使命に掲げた同協会の経営方針を、どのように職場のルールに落とし込んだのか。主に重視したポイントは、①短期離職の防止、②優秀な人材の確保、③成長・がんばりを促す仕組み――の3つだと原口さんは話す。
「『観光のプロ集団』として地域や事業者に頼られ、その結節点となるためには、観光スキルはもちろん公共、コンサル、IT部門などハイブリッドな役割が期待されている。これまでは経験と勘と好みの『3K』で事業を進めていたが、今後は数字的な根拠に基づいたマーケティングの思考も重要です」
一方で、職員の給与面では安心して家族を養える水準まで届かない現状もある。離職が相次ぐ現状を改善しなければ、経営的な実績をあげるような創造的な観光振興も難しい。こうしたなかで、まず働く人に魅力を感じてもらうための環境整備に注力したと原口さんは話す。
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。