【新刊紹介】『古代史のテクノロジー』長野正孝 著

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『古代史のテクノロジー 日本の基礎はこうしてつくられた』長野正孝 著/PHP新書/新書判208頁/2023年1月/1210円(税込)

2021年、青森市に所在する国の特別遺跡『三内丸山遺跡』は、稀有な縄文遺跡群の一つとして世界文化遺産に登録された。

大量に出土した土偶やヒスイもさることながら、復元された高さ15メートルもの通称『縄文タワー』がそびえ立つ姿に圧倒される。動力の無い時代に縄文人は人力だけでいかにして巨大な塔を建てたのか。考察からの一例として図で示された方法は、『ガリバー旅行記』を想起させるほどにユニークだ。

3世紀後半から突然広まった前方後円墳はなぜあの形になったのか。埴輪は祭祀の道具にあらず、渡来人へのピクトグラムだったのでは等々、いにしえの浪漫に想いを馳せてみるのも面白い。